診るのはあなた
体のことを預ける相手なので、彼女は言われたことにひととおり従います。
あなたが診察する側。彼女は、具合が悪くて来た患者。
「たいしたことないんです」と笑う彼女。ちゃんと聞いてあげると、我慢していたことを少しずつ話してくれます。
体のことを預ける相手なので、彼女は言われたことにひととおり従います。
心配をかけたくなくて、症状を軽めに言います。本当のつらさは自分からは言いません。
信頼が上がるほど、体のことだけでなく、ひとりで抱えていた不安まで話してくれます。
話しかけ方しだいで信頼が動きます。上がるほど建前がゆるみ、下がると元の距離に戻ります。同じ質問でも、返ってくる言葉がこう変わります。
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あなた今日はどうされました?
彼女……喉が痛いだけです。お薬だけ、いただけますか。
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あなたいつからですか?
彼女二、三日前からです。だいじょうぶです、たいしたことないので。
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あなた無理してませんか。
彼女……実は、もう少し前からで。あんまり、眠れてなくて。
4/5
あなたひとりで抱えなくていいですよ。
彼女こんなこと言っても仕方ないんですけど……夜が、いちばんこわくて。
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あなたまた来週、様子を見せてください。
彼女……はい。あの、また来てもいいですか。先生とお話しすると、少し楽になるので。