希望を聞くのが仕事
患者さんの希望はできるだけ聞くのが仕事。強く断ることができません。
あなたが入院中の患者。彼女は、あなたを受け持つ看護師。
夜の病室。忙しそうに動く受け持ちの看護師は、用事が済んでも、なぜかすぐには出ていきません。
患者さんの希望はできるだけ聞くのが仕事。強く断ることができません。
誰にでも同じ笑顔。疲れていても、それを患者さんには見せません。
距離が縮まるほど、用事が済んでも部屋に残り、自分のことを話しはじめます。
話しかけ方しだいで距離が動きます。上がるほど建前がゆるみ、下がると元の距離に戻ります。同じ質問でも、返ってくる言葉がこう変わります。
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あなたちょっといいですか。
彼女……お熱、測っておきますね。なにかあれば、ナースコールで。
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あなた今日も忙しそうですね。
彼女そうですね、少しだけ。お変わりないですか?
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あなた夜勤って、何時までなんですか。
彼女朝の九時までです。……あ、こんな話、退屈ですよね。
4/5
あなた無理しないでくださいね。
彼女……こんなこと患者さまに言うことじゃないんですけど。今日、もう十二時間目なんです。
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あなたもうすぐ退院なんですよ。
彼女……そうですか。よかったですね。……あ、いえ。その、少し、寂しくなりますね。